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【モバマスss】華、微【三船美優】

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1 :名無しさん@おーぷん:19/08/31(土)23:54:39 ID:XlS
三船美優さんのSSです。晩夏なので季節はギリギリOK……のはず。Pと恋愛関係……という作品なので、苦手な方はご注意を。色々至らぬところはあるでしょうが、趣味全開で書きました。もしよければ、ぜひ。よろしくお願いします。
2:名無しさん@おーぷん:19/08/31(土)23:55:03 ID:XlS
◇【花火】○「三船さん、こっちに目線ください……はいオッケーいい表情!じゃあ、今度はちょっと目線を落として……そーうそうそうその表情最高!」────ぱしゃり、ぱしゃり。目の前の美優さんの表情は、輝く水を連想させる。水に映る空気。息を飲む熱量。触ればひやりと冷たいのに、芯からありもしない熱さを感じる。────そんな、幻みたいな光景が思い浮かぶような────そんな撮影だった。
3:名無しさん@おーぷん:19/08/31(土)23:55:22 ID:XlS
「美優さん、お疲れ様です。……あともう少しかかるみたいですから、身体を冷やさないように。」「ありがとうございます、プロデューサーさん。 ……今日は、自分でもびっくりするくらい、うまく表情を作れているような気がします……如何ですか?」「……それは、美優さんの思われている通りだと思いますよ。思わず、どきりとしてしまいました。」「そ、そうですか……!私、プロデューサーさんに褒めていただければ、もっともっと、頑張れます……!」彼女の表情は、最近よく変わるようになった。喜んで、怒って、哀しんで、そして笑って。今日はずっと付いているから、と伝えると、彼女の微笑みはさらに深くなる。
4:名無しさん@おーぷん:19/08/31(土)23:55:45 ID:XlS
そういえば、喜怒哀楽とは言うけども、『喜』と『楽』の違いが何なのだろうか、と言う話題が飲み会であがったことがある。僕はそれなりに定義にこだわる傾向にあるので、手元のスマートフォンで検索をかけようとしたところ、一緒に飲んでいた片桐さんに止められたことがある。『野暮ね。私たちが知りたいのは知識じゃなくて、人となりなのよ。』その言葉にはっとさせられた。そりゃそうだ。仲間内で求めているのは議論ではなく、与太話なんだ────それも飲み会なんて場所なら尚更だ。 TPO というか、空気を読め、というやつだろう。
5:名無しさん@おーぷん:19/08/31(土)23:56:04 ID:XlS
『それで、プロデューサーくんはどう思ってんの?その違いは?』あの時はしどろもどろになってしまった上に、終ぞ答えらしいものは見つけられなかったけれど。今なら、それとなくあの時の答えを返せそうだ。────彼女の大人びた微笑みに付される、子供のようにはしゃぐ、無邪気な笑顔。それがそのまま、『喜』と『楽』の違いなんだろう。本当のところがどうかなんて、知ったこっちゃない。
6:名無しさん@おーぷん:19/08/31(土)23:56:31 ID:XlS
視線の先の彼女の表情が、また次々に、続々と変わっていく。今度は表情について注意が入った。確かに、今の表情はこの雑誌のメイン・テーマにはそぐわないかもしれない────大人の女性という、凝り固まったプロパガンダには。でも、もったいないと感じてしまった。今の彼女のあの表情だって、間違いなく大人の女性の美しい一瞬なのにな。渡された企画書に目線を落とし、そこに記されているタイトルに少し後悔する。再び目線をあげると、カメラマンさんからの指導がなされた彼女と、ぱっちり目があった。────その妖しい微笑みは、今日一番の取れ高だったと、後でカメラマンさんから耳打ちされた。全く、今の今まで「子供っぽい」と言われていたのに、ものの数秒で人が変わったような表情を見せるなんて。女性はすごい────というより、彼女がすごいのか。
7:名無しさん@おーぷん:19/08/31(土)23:57:03 ID:XlS
○「お疲れ様です。美優さん────今日は、これで上がりです。」「わかりました。ありがとうございます、プロデューサーさん。お忙しい中、私のために時間を割いてくださって……」「いえ、私はあなたのプロデューサーですから……」そこまで言って、軽い自己嫌悪に陥る。そんなことを言うが、最近はその仕事をまともに行えていなかったではないか。
8:名無しさん@おーぷん:19/08/31(土)23:57:29 ID:XlS
「……いいえ。プロデューサーさんは私のプロデューサーでもありますが、他の人たちにとってのプロデューサーでもあります。……それなのに、今日は私を選んでくれて、と言いますか……ぁぅ、私、一体何を……」彼女がぼっと赤くなる。その表情に関して思うことは当然あるのだけど、あえてそれに関しては触れず、彼女の言葉のみに思考を集中させよう。彼女にそう言ってもらうと、少し気が楽になる。都合のいい言葉に救いを求めてはいけないのだけど、それでも罪の意識というか、後ろめたい気持ちからは少しでも解放される。
9:名無しさん@おーぷん:19/08/31(土)23:57:48 ID:XlS
「……あの、プロデューサーさん……?」はい、なんですかと。声に出そうと思ったはずなのに、声帯は震えなかった。「あの……今日は、近くで夏祭りがあるみたいなんです……ですから……その……ぃっ」「ああ、夏祭りですか。構いませんよ、今日はもう上がりですから。」「そ、そうですか……!やったぁ……!」
10:名無しさん@おーぷん:19/08/31(土)23:58:10 ID:XlS
どうして彼女がそんなに楽しそうなのか、僕にはすぐに理解ができなかった。そこまで夏祭りに行きたかったのだろうか。確かに最近は多忙を極め、毎日の生活に日常を感じられる機会は少なくなっているだろうけど、それでもここまで喜ぶのはどうしてだろう。「ぁ……」「み、美優さん!?」彼女の目に涙がたまっているのを見てぎょっとする。しまった、そこまで僕は彼女を追い込んでしまっていたのか。今から会社に帰って、彼女の予定をイチから見直さなければ……!精神的にここまで追い込んでしまうまで仕事を強いて、それに気づきもしなかったなんて。僕はなんてバカなプロデューサーなんだろう……!
11:名無しさん@おーぷん:19/08/31(土)23:58:35 ID:XlS
「私、プロデューサーさんがお忙しいのを知ってて……迷惑にならないかなって、思ってたんですけど……」「迷惑なんて、そんな。こちらこそ、気づけなくてすいません。」「……そんなこと……私、自分の気持ちを言葉にするのが上手くなくて……でも、今だって、あなたはそんな私のことを思って……」彼女の言葉の一つ一つが、僕の心を重くさせる。こう言ってくれてはいるが、彼女をここまで追い込んでしまったのは他でもない自分なのだ。払われたはずの罪悪感が再び押し寄せる。次に彼女になんて言葉をかけようか。謝罪の言葉か、励ましの言葉か。それとも、他愛ない話を振った方が心が楽なのだろうか。次の一手を僕が指す前に、彼女の方から次のアクションが起こされる。
12:名無しさん@おーぷん:19/08/31(土)23:58:57 ID:XlS
「私、その、実は……今日、この夏祭りが楽しみで……家から、浴衣を持ってきていて。」「そ、そうなんですか。」「……着替えてくるので、少し、待っていてくれませんか?」「あ、僕は今日の現場の皆さんにもう一度挨拶をしてきますので……その後でよければ、まぁ待つことは吝かではないのですが……構いませんか?」「……はい!……ふふ。一緒に夏祭りを回れるなんて、今日はお仕事を頑張ってよかった……!そ、それでは、急いで着替えてきますので……!」
13:名無しさん@おーぷん:19/08/31(土)23:59:16 ID:XlS
そう言って、彼女は更衣室へと入っていく。……待て、彼女は今なんと言ったのだ。急いで着替えてくる。それはいい。お仕事を頑張ってよかった。それはいい。一緒に夏祭りを回る…………一緒に?
14:名無しさん@おーぷん:19/08/31(土)23:59:33 ID:XlS
────────────────あ。────────────────ええと。────もしかすると、僕は。何か、とんでもない思い違いをしていたのかもしれない……!まずい、頭の整理が追いつかない────!
15:名無しさん@おーぷん:19/09/01(日)00:00:00 ID:Imp
なんとか頭を働かせようと努力していると、唐突に会社支給のスマートフォンが3回振動する。何か重大なことがあったのではないかと不安に思い、急いでメールフォルダを開けると、そこには先輩のプロデューサーからの個人的なメッセージが残っていた。
16:名無しさん@おーぷん:19/09/01(日)00:00:21 ID:Imp
『────君。愛しい先輩からのありがたいメールです。心して聞きなさい。今日、君のすべき仕事はすでに会社には残っていません。今日のあなたに残された予定は二つに一つです。そのまま直帰して一人寂しく撮りためた金曜ロードショーを消化するか、愛しい人のお誘いに乗って、この夏の思い出を作るかです。どちらを選択するかは君の自由ですが、ぜひ幸福が世界に多からんことを願っています。かしこ。君が敬愛してやまない先輩より。P.S.川島さんや片桐さん、佐藤さんは素晴らしい女性達です。たまには彼女達に酒の一杯でも奢ってあげても不思議なことではありません。そして後日俺にはなんらかの施しをいただけると嬉しいです。てかくれ。』
17:名無しさん@おーぷん:19/09/01(日)00:00:41 ID:Imp
────何があったのかは想像に難くない。哀れな先輩よ。思うことはいろいろあるけれど、今日はその心遣いをありがたく受け取っておこう。先輩には今度、スタミナドリンクの詰め合わせでも送ろうか。それと、僕は彼女達に一杯どころかいっぱい酒を飲ませてやっているので、そちらの方はぜひ先輩にも手伝っていただきたい────近いうちに、彼女達にはやはり酒を奢らなければいけない事情ができたようだ。いずれにせよ。現場の方々にはもう一度お礼を。その後のことは、まぁ、なんというか。────まずは、遅れないようにしなければ。
18:名無しさん@おーぷん:19/09/01(日)00:01:14 ID:Imp
○挨拶を早々と終えたいところではあったが、そこはやはり付き合いというものだ。しかも彼女のことをたいそう褒めてくれたカメラマンさん、雑誌の編集部の皆さんのことを無下にすることなどできはしない。それなりに話に付き合い、また一緒に仕事がしたいという言葉を頂いたところでなんとか話を切り上げ、もう一度、撮影所の玄関まで戻る。
19:名無しさん@おーぷん:19/09/01(日)00:01:32 ID:Imp
先程に比べ、感覚でわかるくらいに空気の明度が落ちている────夏至はもうとっくに過ぎたのだ。夏真っ盛りの今は、もう既に陽の下り坂の時期でもある。しかし、それよりもはっきりとわかる違いがある。もっと大事で、もっと大切な違いがある。「……お待ちしていました。プロデューサーさん。」はっきりとした、それでいて少しの照れを内包した声がする。そこには水色の柔らかな生地に身を包んだ、美を体現したかのような彼女の姿があった。
20:名無しさん@おーぷん:19/09/01(日)00:02:17 ID:Imp
────綺麗だ。ここまで純粋に、そして他に何の感情も持てない────持たないのとはワケが違う────ことは珍しかった。僕の人生でも数えるほどの回数しかない。その一回目の出来事に僕は自然と心も体も動かされてしまう。
21:名無しさん@おーぷん:19/09/01(日)00:02:36 ID:Imp
「お待たせしてすいません。少し、時間がかかってしまいまして。」「いえ、私も、今ちょうど来たところですから────」「────それなら、よかった。 ……さぁ。それじゃあ美優さん。行きましょうか。」「────はい。楽しみ、です。」彼女の横までゆったりと歩き、そこから少し歩幅を狭くし、またゆっくりと歩き出す。隣の彼女の表情は、先程からずっと変わらない。コロコロと表情が変わるのも魅力的だが、しかしやはり笑顔に満ちていることが、僕にとっては一番嬉しい。まったく、今日のことはいろんな人に感謝しないといけないなぁ。こんな機会をもらえるなんて、まったく普段の行いが良いからだろうか。……周りに恵まれたからだろうか。ああ、そうだ。それと、やっぱり美優さんには謝った方がいいのだろうか。本来は彼女一人を残し、彼女ではない誰かのための仕事をしようかと思っていたこと。彼女からのお誘いを完全に勘違いしていたこと。彼女のことを見て、プロデューサーであるにも関わらず、その美しさに心を奪われてしまったこと。────いや、やめておこう。そうだ、 TPO というか、空気を読め、というやつだ。────それと、やっぱり少し恥ずかしいから。
22:名無しさん@おーぷん:19/09/01(日)00:03:29 ID:Imp
○どぉん、と低い音が耳に届く。太陽はもう沈みきっているが、その残滓がこの空をまだ暮れさせない。水平線の向こうが燃えている。しかしその炎は段々と海の彼方に消えていくようだ。灰色に少しだけ藍色を混ぜたような不完全な黒をしている空に、赤、黄色、橙色の花が散っていくのが見えた。「あ、もう花火が打ち上がってますね……」連れ添いながら夏祭りの会場に向かっている最中、まさにその方向の空に、花火が舞った。夏祭りの会場は、撮影所から歩いて十分程のところだ。田舎でよくある、小さな公園に屋台が三つだけ出るような夏祭りとは違う。人通りが激しい大通りを占拠し、様々な思いが混じり合う。終わってしまえば、さっと片付けて、また多くの人の日常をその場に表示する。そんな都会の夏祭りだ。それは機能的で、合理的で。派手なようで、寂しくて。────都会の夏祭りというのは、まさに花火のような生き様と言えるだろう。
23:名無しさん@おーぷん:19/09/01(日)00:04:34 ID:Imp
「ああ、遠目からでも綺麗ですね。」「ええ。やっぱり夏になると花火を見たくなってしまうのは、どうしてなのでしょうね……」「夏の風物詩というか。そういうものですよね、夏と聞いて、パッと思いつくものですし。」再び、どぉん。どぉんと音がする。音の聞こえたタイミングで足を止め空を見上げると、既に花火の形は崩れている。────ということは、やはりそれなりに距離があるのだろう。「……花火って、打ち上がってはじめて花火になるのでしょうか……」一緒に足を止めていた彼女が、空を見上げたまま、僕にしか聞こえないような声で語りかける。「打ち上がって、燃えて……すぐに消えていく。その儚さこそに、私たちは惹かれてしまう……」「……どうなんでしょうねぇ。」僕はその言葉の意味がにわかには理解できずにいた。「打ち上げ花火といえば、火薬の詰まった球のことだと、昔は習った気がするんですが……本当のところは、どうなのかわかりませんが……」何とも中身のない話を返してしまう。しかし、そんな僕の話をしっかりと受け止めた上で、美優さんはさらに話を続けた。「もちろん、私も本当のところは違うとはわかって……いると思うんです……」「でも、どこか……どこか私たちは、花火という『モノ』よりも、花火という『コト』を、そう呼んでいるんじゃないかなって」「コト……ですか? 」「ええ。私たちが花火と聞いて思うのは、いつもどぉんと鳴って、ぴかっと光って、めらめらと消えていくあの瞬間だと思うんです……だから、きっと。」あの一連の現象こそが、花火という在り方なのかもしれませんねと、彼女は言葉を結ぶ。
24:名無しさん@おーぷん:19/09/01(日)00:05:02 ID:Imp
確かにそう言われてみると妙に納得してしまう────現実としてそれがどういうモノとして存在しているかでなく、僕たちの認識の中のコトとしてどう根ざしているか。それこそがそのモノの存在を決めてしまう。きっと彼女の言いたいことは、こういうことなのだろう。柄にもなく、しち難しいことが頭の中に駆け巡る。僕の脳が少しばかりの汗を掻いているその横で、彼女はまだ空を見上げたまま、こう続けた。「私たちアイドルも、きっと花火のようなものなのでしょうね……」相変わらず、表情は変わらない。でも、感情はどうだろうか。その言葉の裏にある感情がいかなるものか、僕は少しだけ想像をしたが、すぐに意味をなさなくなった。それは、想像しても意味がないわけではなくて。想像すること自体の意味が失われたからだ。
25:名無しさん@おーぷん:19/09/01(日)00:05:33 ID:Imp
「!……っ」「っ……!」僕の手に、彼女の手が重なる。一と二の間に、一を。二と三の間に、二を。あとは簡単な漸化式だが、高々五までしかないので、書き下してしまおうか。三と四の間に、三を。四と五の間に、四を。────君の五の横に、僕の五を。
26:名無しさん@おーぷん:19/09/01(日)00:05:47 ID:Imp
「でも、貴女だけは消えない。消えさせない。」そんな気の利いたことを言えればよかったのかもしれないけども、僕はただ黙って、彼女の手を握っていた────彼女も何も言わず、ただそれを受け入れてくれていた。そのまま、僕は一歩だけ足を前に進める。その半歩後ろに彼女を感じながら。格好はつかないけど、でも足音と体温とに、君を感じながら。僕たちは夏祭りの会場を目指して、また歩を進めていく
27:名無しさん@おーぷん:19/09/01(日)00:06:08 ID:Imp
◇【華、美】○ようやく会場である大通りにたどり着く。道中いろんな人の目線があったけど、なんとか私たちがこの場にいるということはバレずにいるようだ。……本当に、これだけで奇跡に感じる。髪型や装いこそ普段とは異なるとはいえ、徹底的な変装をしているというわけではないのだから。プロデューサーさんと繋がっている手が熱い。彼の大きな────でも一般の男性と比べたら少しだけ小さい────背中を見つめ、その後をただただ、ついていく。
28:名無しさん@おーぷん:19/09/01(日)00:06:29 ID:Imp
手が熱い。顔が、首が、胸が、腰が。熱い。熱い。熱い。ああ、ああ。愛しい。目の前の男性が。わたしの手を引くこの男性が。プロデューサーさんが、愛しい。どうしてなんて、言われなくても。自分の気持ちなんだから、私は十分にわかっている……つもりです。私を救ってくれた人。私を導いてくれた人。私を勇気付けてくれた人。あの冬の歩道橋。それからいくつもの季節を超えて、でもこの想いは増していくばかりで。好き。好き。好き。……でも、そんなコト、言えないから。燃えて、泣いて、消えて────私は、そんな情けない存在だから。────でも、その一瞬の光を与えてくれた、そんなあなたが、どうしようもなく好きだから。だから、この時間が少しでも長く続いてくれれば良いのに。何百人ものゼロ人に囲まれて。数時間の一瞬に囲まれて。私たちだけの時間と空間が、少しでも長く続けば良いのに。────こんなに想っているのに、この指を少しでも強く絡ませることでしか、伝えられない。臆病な私を、どうか許してください────そして叶うならば────どうか、どうか。
29:名無しさん@おーぷん:19/09/01(日)00:07:02 ID:Imp
○祭りの喧騒は続く。あちらこちらで人の音がする。打ち上げ花火はとうとうクライマックスを迎え、有名な漫画のキャラクターを模した特大の四色花火が打ち上がる。その音に、光に。多くの人が魅了され、立ち止まる。誰もが上を見上げる。光を見上げる────その華やか極まる光景に心を奪われなかったのは、きっとこの時空で私だけだと思う。あなたを見つめる。少しだけ、距離を詰める。あなたがよく見えるように、少しだけ。あなたを感じられるように、少しだけ。私の隣に、プロデューサーさんを感じる。
30:名無しさん@おーぷん:19/09/01(日)00:07:29 ID:Imp
────その横顔が好き。花火を見上げ少し微笑む、その凛々しい横顔が好き。私は花火よりも、その横顔を見つめてしまう。────その手が好き。より一層力を入れて握られる、私より大きいその手が好き。私もあなたより強く、強く、握り返す。い、痛くならないいくらいでやめた方がいいとはわかっているんですが……────その声が好き。美優さん。そう優しく私の名前を呼んでくれるあなたの声が好き。私の胸はそれだけで高鳴り、背中に少し、汗をかいてしまいます。────その胸が好き。思ったより固く、でも私以上に速く鼓動を打つその胸が好き。私の体がすっぽり収まってしまいます。思っていたより大きい……そんな現実に、少し思考が冷静になります。────その腕が好き。私の体を強く、強く抱きとめる、その力強い腕が好き。私は────私は。
31:名無しさん@おーぷん:19/09/01(日)00:07:50 ID:Imp
────へ?────わたし、え、今。「美優さん。」なにが、おこって、いるのでしょうか────「美優さん。」いったい、なにが────
32:名無しさん@おーぷん:19/09/01(日)00:08:17 ID:Imp
ああ、きっとこれは夢です。だって、そんなことおかしいじゃないですか。私が、プロデューサーさんの胸に抱かれています。強く、強く、抱きしめられています。寝る前に、何度も思ったあのシーンを。夢の中で何度も見たあのシーンを。今、私はこうやって見ているのです。こうやって、感じているのです。だからこれはきっと、夢に違いありません。「────美優。」彼の唇は、微かに震えていて────目には少し涙すら浮かんでいるような気もします。でも、涙といえば私の目からも。ああ、こんなコト、まるで────
33:名無しさん@おーぷん:19/09/01(日)00:08:36 ID:Imp
「───まるで、夢のようです────」
34:名無しさん@おーぷん:19/09/01(日)00:09:18 ID:Imp
打ち上げ花火は、もうないけども。もうしばらく、お祭りは続くみたいです。
35:名無しさん@おーぷん:19/09/01(日)00:12:53 ID:Imp
以上です。美優さんのssをもっと読みたいので、もし興味持ってくれた人がいたら書いてくれるとめっちゃ嬉しいです。他には最近こんなものを書いていました(最近の3つです)。これらも含め、過去作もよろしければぜひ。よろしくお願いします。【モバマスSS】好きだっていいじゃない【三船美優】http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1567181886/l10【モバマスss】ハートなんて柄じゃないけど 【佐藤心】http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1566711852/l10【モバマスss】A thing which is contrary to the second law of thermodynamics 【かこほた】http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1564330241/l10
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【モバマスss】華、微【三船美優】