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【モバマスSS】肇「私なりの色を」

1名無しさん@おーぷん:2018/10/08(月)00:15:17 ID:A3B()
元々別サイトにて投稿していましたが、消されてるっぽいのでここでまた書かせていただきます

地の文が多めですのでお気をつけを
 
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12名無しさん@おーぷん :2018/10/09(火)23:40:13 ID:Wno
主ですが別の端末から投稿できません
規制されているのでしょうかね?
13名無しさん@おーぷん :2018/10/09(火)23:41:15 ID:Wno
他の端末からでは書き込めるようなのでこちらで続きを書かせていただきます
14名無しさん@おーぷん :2018/10/09(火)23:46:36 ID:Wno
 翌日。
 私は今日はオフをもらえた。
 プロデューサーさんはどうやら私の絵を持ち帰り、一枚を廊下に飾ってくれたらしい。
 プロダクションの中を歩き、私はその一枚をみつけた。
 私、描けたんだ。
 そんな実感がじんわりと出てくる。
 これなら、きっと陶芸も上手くいくはず。
 決意を新たにして、去ろうとした私に声がかけられた。
 荒木さんだ。

「昨日はお疲れ様っス」
「その節はありがとうございました。私にとって大きい一歩になりました」
「や、止めて下さいっス。私は大したことなんてしてないっスから」

 そんなことを言いながら荒木さんは笑みを浮かべている。

「おっ、これがその時の絵っスね」
「はい」

 荒木さんは私の横に立ち並び、絵を眺める。しみじみ、といった感じでうんうんと首を振る。

「いやーいい絵っスね。私の目に曇りはなかったっス。肇ちゃん、これは才能があるかもしれないっスよ」
「いえいえ、そんな……私は陶芸だって上手くできません」
「あー。そういえば肇ちゃんは陶芸に悩んで、アイドルになった、って言ってたっスね」
「はい。そうなんです。でも、私は成長できました。きっと今なら、思い通りのものを作れるはずです」

 そしていつかはおじいちゃんに認められることだって。

「……」

 すると荒木さんは突然押し黙ってしまう。
 何かを思い詰めたように。考え込むように。
15名無しさん@おーぷん :2018/10/10(水)00:03:27 ID:yoe
「荒木さん?」
「肇ちゃん、聞いていいっスか」
「え、ええ」
「この絵を見て、肇ちゃんはどう思うッスか」
「絵? ですか?」

 荒木さんはこくりと頷いた。
 私は絵に目を移す。

「……どう、と言われても、私には……。よくわかりません」
「そうっスか……」

 荒木さんは絵に近づいた。

「この絵は合格って言ったッスよね」
「はい。それが……?」
「まごうことなき合格っス。オマケもつけたくなるくらい。水の光も、魚が悠々と泳いでいる様子も、水草が揺れる様子も。全部素晴らしいっス。だから、絵は合格っス」

 妙に、絵は、と強調するように言って。
 荒木さんは私を見た。
16名無しさん@おーぷん :2018/10/10(水)00:10:46 ID:yoe
「質問を変えるっス。肇ちゃんは何を思ってこの絵を描いたんスか」
「何を、思って」

 果たして、何だろうか。
 私が思い浮かべたこと。
 ……答えは中々見つからない。
 私は、何を思って、この絵を。

「肇ちゃんが何を思って描いたのか、当てるっス」
「え?」
「肇ちゃんの顔は真剣そのものだったス。でも同時に、窮屈そうだった。肇ちゃん、きっとあなたは、完璧を求めて描いたんじゃないっスか」
「……あ」

 完璧。
 理想の形。
完璧を思い描いていた。目の前の水槽を、完璧に描くように。

「あ、違うなら違うって言ってくださいね。恥ずかしいっスから。……コホン。少し説教臭くなるかもしれないっスけど。創作する同志として、話させて欲しいっス」
「……はい」
「創作って難しいっスよね。私も壁にぶつかったり、もっと酷いときは、何でこんなことをしているのか、わからなくなってしまうこともあるっス」

 それは、私にも言えたこと。

「でもそんなときに絶対思い出すことがあるっス。楽しい、ってことっス」
「楽しい……」
「辛くて苦しくて、迷ったりするけれど。楽しいからものを作るんでスよ。肇ちゃんも、そうじゃないっスか」

 荒木さんの言葉は、胸に深く刺さる。
 そうだ。私は。
 楽しかったんだ。
17名無しさん@おーぷん :2018/10/10(水)00:14:13 ID:yoe
 思い出すのは十年前。両親から実家に帰ると連れ出され、おじいちゃんの家にいたときの話。
 私は好奇心に駆られ、自分の家の何倍も大きいおじいちゃんの家を歩き回った。
 つんと鼻につく匂いを感じて、導かれるように一室に辿り着く。
 おじいちゃんが中に居て、何かに集中しているようだ。
 中へ入ろうとするとおばあちゃんに止められた。

「今ねぇ、お祖父ちゃんは真剣だからねぇ。邪魔しちゃだめ」
「何してるのー?」
「見てごらん」

 おばあちゃんは部屋の壁を指差す。

「わぁ……」

 並んでいたのはたくさんの器。
 おんなじように見えて、それぞれがちゃんと違う。

「おじいちゃんはあれを全部作っているのよ」
「そうなんだ!」
「そしてね、おじいちゃんはずっと、楽しそうに作るのよ」
「楽しそうに?」
「うん。笑顔じゃないけれど、楽しそうにね。だから邪魔しちゃいけないわ。肇、きっとあなたにもわかるときがくるわよ」
「ふーん」
18名無しさん@おーぷん :2018/10/10(水)00:23:29 ID:yoe
 幼いころの私がどんな風に、おじいちゃんや器たちを見ていたのか、明確には思い出せない。
 でも、初めてろくろに触れたとき。
 あの感動は鮮明だった。
 自分の手で、頭の中のものを、作り出せる喜び。おおはしゃぎして部屋を汚しちゃったんだっけ。
 ……そうか。
 私は楽しいからやってたんだ。
 いつから忘れて。
 大切な感情をどこかに落としてしまって。
 完璧を求め始めた。
 完璧な器。完璧な表現。そこに一切の感情が入ることを許さなくなって。
 そんなことを重ねて、立ち行かなくなった。
 私は、何でそのことを。
19名無しさん@おーぷん :2018/10/10(水)00:33:43 ID:yoe
「肇ちゃん」

 荒木さんは私をまっすぐ見つめてくれる。
「芸術は完璧なら評価されるかもしれないっス。でも、作者として楽しまなきゃ私は二流だと思うっス。肇ちゃんにはそれを知って欲しかったっス」
「……ありがとうございます。荒木さん」

 だから止めて下さいって、と笑う内に、荒木さんはトレーナーさんに呼ばれた。
 どうやらレッスンの休憩中だったようだ。
 短い別れを済ませ、再び一人になる。

「ふー……」

 深呼吸。
 荒木さんのおかげで、成長した気がする。
 表現の方法を見つけた気がする。
 いや、少し違うのかな。
 変わるための鍵を受け取ったという感じなのかな。

「よし」

 なら、試してみよう。
 その鍵を、使ってみよう。


 プロデューサーさんの部屋に強引に入る。

「ん? どうし――」
「プロデューサーさん!」

 机に手をのせ、体を近づける。

「……マジでどうしたんだ?」
「実家に行かせて下さい」
「え?」

 プロデューサーさんは戸惑いを隠せない。

「い、今からなのか」
「はい」
「お、オフとは言えど、あまりにも急じゃ」
「プロデューサーさん、知らなかったんですか?」

 もう決めてしまったことだから。

「私って、頑固、なんですよ」

 おじいちゃんに、会いに行かなきゃ。
 
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20名無しさん@おーぷん :2018/10/10(水)00:41:56 ID:yoe
 懐かしい匂いがする。
 やっぱりその元に、おじいちゃんはいた。

「ただいま」

 そんな声に少しだけ体を止めたけど、また動き出した。おかえりの言葉もなく、顔を見てくれない。

「どうした?」

 丸まった背と、少し枯れたような声を聞いて、私は答えた。

「挑戦しにきたの」
「……変われたのか」
「わからない。けど、これから変わるの」

 完璧じゃなくたっていい。未熟なままでいい。
 一歩一歩、前進していけば、それでいいんだと思う。
 おじいちゃんはそっと立って、ろくろの前へと私を促した。
 私はろくろの前に座る。
 指も手も腕も、動いてる。初めて触ったときの感覚を思い出しながら、そっと形作っていく。

「おじいちゃん。私ね」
「うん?」
「いつからかおじいちゃんに認めてもらうために作ってたんだ。でも、私は間違ってた」
「じゃあどうするんだ?」
「認めてもらうものを作るんじゃない。私なりのものを、認めてもらうの」

 真似事なんかじゃなく。
 私なりの色。私なりの表現で。
 辛くても苦しくても、喜びや楽しさを忘れずに。

「そしておじいちゃんをいつか抜かしてみせる」

 憧れにだって、届いてみせるんだ。
21名無しさん@おーぷん :2018/10/10(水)00:44:10 ID:yoe
以上となります

拙い文章で失礼しました
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