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モバP「だりやすかれんの軌跡」

15F5enKB7wjS6:2017/12/30(土)00:30:46 ID:t10()


―――大掃除中の泰葉のお部屋


泰葉「ん、しょ……よい、しょ……」ゴトゴト…


泰葉「ふ、う……! 重い……!」ズルズル

泰葉「なにが入ってるんだっけ……アルバムかな――」


ごつんっ


泰葉「いっ!? ったぁ……!」


李衣菜「ど、どしたの泰葉。今すごい音聞こえたけど」ヒョコ

泰葉「だ、大丈夫。押し入れの天井に頭ぶつけただけだから……いたた」ズキズキ…
25F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)00:32:12 ID:t10()
李衣菜「うわ、痛そー……。たんこぶできてない?」

泰葉「うん、平気だよ……。李衣菜はどう、キッチン捗ってる?」

李衣菜「順調順調。普段から綺麗に使ってるからそんなに汚れてないしね。……一部分以外は」ポソ

泰葉「それなら良かった。でもごめんね、一番大変なところ任せちゃって。本当は私がやらなきゃいけないのに」

李衣菜「いいっていいって! 遊びに来て料理振る舞ってるのは私だしさ、私がやるべきだよ」

泰葉「そもそも来てもらってるのにご飯作ってもらってること自体申し訳ないんだけど……」

李衣菜「あはは♪ そんなのいいよ、やりたくてやってるんだから」
35F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)00:34:19 ID:t10()
泰葉「ふふ。それも含めて、今日はお手伝いに来てくれてありがとう。嬉しい」

李衣菜「うんっ。明日からレッスン漬けだもん、ちょうど良かったよ。今年はもう来れる余裕無さそうだしさ」

泰葉「そうだね……。頑張ろうね、3人で。今までで最高のライブにしましょう!」

李衣菜「へへ、当然っ! そのために今日は豪華な夕飯にしなきゃね。お鍋だよお鍋、今年一番の出来にしてあげるねっ」

泰葉「うん、楽しみ♪ お掃除頑張って、綺麗な気持ちでレッスンに臨もうね」
45F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)00:35:28 ID:t10()
李衣菜「だねー。……まぁ、これからやばいとこ掃除しようと思うんだけど……」

泰葉「あ……」

李衣菜「いやー……もうね。見て見ぬふりできたらどんだけ良かったか……」

泰葉「ご、ごめんなさい本当に……私もどうしたらいいか迷ってたらずっと放置しちゃってて」

李衣菜「い、いいよ……へーきへーき。使ったの私だしさ……うぅ、見たくないなぁ……」


ぱこっ


換気扇「デロォン…」

李衣菜「うぉあー……!!」
55F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)00:36:20 ID:t10()
泰葉「き、キッチンから瘴気が……!」

李衣菜「泰葉絶対こっち来ないでね……! こいつは私がやっつけるよ……!」

泰葉「李衣菜、生きて帰って……!」


がちゃ


加蓮「あー腰痛ーい。泰葉も李衣菜も掃除終わった?」

泰葉「あっ犯人……!」

李衣菜「ポテトの魔王め……!」
65F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)00:37:39 ID:t10()
加蓮「はぁ? なに、どうしたの?」

泰葉「な、なんでも。それより加蓮、お風呂掃除終わったの?」

加蓮「うん、一通りね。あとはハイター流すだけだよ」

泰葉「そっか、ありがとう。目とかに入らなかった?」

加蓮「この完全防備に言う言葉じゃないでしょ。これで外出たら私だってバレないよ、絶対」

泰葉「ふふ、そうだね……♪」パシャ

加蓮「なんで撮ったの!?」


李衣菜「うわぁこれ落ちるかな……落ちるよね……!?」
75F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)00:38:37 ID:t10()
加蓮「んもう。……で、アレはなにやってんの? ていうかなんかすごいジャンクな臭いしない? ハイター以上に臭いんだけど……」クンクン

泰葉「あ、見ない方が」

加蓮「このかぐわしい香り……油? ポテト?」


李衣菜「そう思うなら来たらいいよ……加蓮は見る義務があるんだからさぁ……!」

加蓮「??? なんなの李衣菜――」トテトテ



加蓮「きゃああああああああなにこれぇえ!?」
85F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)00:40:24 ID:t10()
李衣菜「加蓮が食べたいって言うから! そのたびに! 揚げたんでしょポテト! そのせいなんだからね!」

加蓮「黒っ、真っ黒!! ってゆーかグロっ!? なにこれやば、ええええぇぇ!!?」

李衣菜「1年分の油を一身に受けてね……この換気扇くんは頑張ってたんだよ……加蓮に美味しいポテトを食べてほしいってさ……」

加蓮「あ、あああぁぁ……! 私の、せい……私のせいでこんな姿に……!?」

李衣菜「見てよこのこびり付いた汚れっていうか穢れ……。もしかしたら加蓮の体の中もこんなふうに真っ黒ぐっちょぐちょに」

加蓮「やめてええええええ」


泰葉「ごめんね李衣菜、ちょっとこの臭いは耐えられないから閉めるね……」パタンッ

「「えっちょっとぉ!?」」
95F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)00:41:27 ID:t10()
李衣菜「狭いんだから開けてよ泰葉、ひどいよー!」ドンドン

加蓮「私ムリ、こんなとこいたくないっ! 出して泰葉、私まだお風呂掃除終わってないんだから~!」バンバン

泰葉「だったら早くそれどうにかして! お部屋全部油臭くなっちゃうから!」

李衣菜「じゃあベランダ全部開けてよ!」

泰葉「でも寒いし……」

李衣菜「泰葉ぁ! マジで怒るよ私ィ!」

加蓮「うえぇぎぼぢわ゛る゛ぐな゛っでぎだぁ……くさいぃ……!!」
105F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)00:42:33 ID:t10()


―――


李衣菜「はー、やっと終わったー」クテー

泰葉「お、お疲れさまです」

李衣菜「いやーほんと、掃除はこまめにしないとダメだね。ダンスとはまた違う筋肉使わなきゃいけないし」

泰葉「も、揉みます」モミモミ

李衣菜「うんうん、ありがとう泰葉♪」

加蓮「ちょっとー? 私も慣れないことして腰が痛いんですけどー?」ゴロゴロ…

泰葉「は、はいただいま!」モミモミ

加蓮「あー気持ちイイ♪」

李衣菜「部屋も綺麗になって最高だね♪」

泰葉「うぅ……許してふたりとも……!」
115F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)00:44:04 ID:t10()
加蓮「ふふっ♪ 泰葉もお疲れさま。なんとかなったね、大掃除」

李衣菜「なったねー。人んちの掃除なんて初めてだったけど楽しかったよ」

加蓮「私も~。こんな賑やかな大掃除とか普通ある?」

李衣菜「ないない♪ だから泰葉もそんなに落ち込まなくていいよ?」

泰葉「……許してくれる?」

加蓮「私は楽しかったからおっけー♪」

李衣菜「私は……一番風呂もらえたら許そうかな」

加蓮「うん、李衣菜くちゃい」

泰葉「ほんとにごめんなさいっ」

李衣菜「あ、あはは……」
125F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)00:45:12 ID:t10()
加蓮「早くその臭い落としてきてよ、ほんと臭い」

李衣菜「元はと言えば誰のせいだと思ってんのかな加蓮ちゃん……?」

加蓮「だけど私は謝らないし来年も変わらずポテトを要求するよっ」

李衣菜「はぁ、もう……。加蓮のワガママって毎年エスカレートしてるよね」

泰葉「ふふ。仕方ないよ、加蓮だもの」

加蓮「ふふん♪」

李衣菜「なに威張ってるんだよぅ」

泰葉「あんまり調子に乗ってると……こうだよっ」ツンッ

加蓮「あふぅっ」

李衣菜「このこの~」ツンツンッ

加蓮「やーんやめて~♪」ケラケラ
135F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)00:46:27 ID:t10()
李衣菜「っと、加蓮イジメてる場合じゃなかった。早く入らないとまたお部屋臭くなっちゃうね」

泰葉「あ、うん。私たちもあとですぐ入るから」

李衣菜「ん、分かった……ってお湯まだ張ってないじゃんそういえば」

加蓮「そんなこともあろうかと。ちゃーんと私がやっといたよ、褒めて」

李衣菜「おおっ。偉い!」

泰葉「いつの間に。ありがとう加蓮っ」

加蓮「うんうん、もっともっと褒めていいんだよー♪」
145F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)00:47:44 ID:t10()
李衣菜「ってほんとは先に入ろうとか思ってたんでしょ」

泰葉「でしょうね」

加蓮「あは、バレてた♪ いいよ、李衣菜先で。くちゃいもん」

李衣菜「な、何度もくちゃい言わないでよっ。んじゃ入ってくるっ」

泰葉「ゆっくりでいいからね、李衣菜」

加蓮「早めにね。お鍋早く作ってくれなきゃお腹空いちゃう」

李衣菜「どっち……。分かったよ、どうせみんな入るんだし。じゃね」トテトテ
155F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)00:49:10 ID:t10()
加蓮「いってらっしゃーい。…………さて。泰葉」

泰葉「ん、どうしたの?」

加蓮「やっと……ふたりきりになれt」

泰葉「気持ち悪い」ススス

加蓮「せめて最後まで言わせて?」

泰葉「はぁ……なに?」

加蓮「こほん。さっきから気になってたんだけど、そこに積み上がってるアルバムってもしかして」ススス

泰葉「あ、うん。今まで撮った写真だよ。見る?」ススス…

加蓮「見る見る! それと離れないで、結構悲しいから」
165F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)00:51:03 ID:t10()
泰葉「――ん、これ……本当に一番最初に撮った写真だね」パラ…

加蓮「出会ってすぐだっけ。所長さんが記念に……って」

泰葉「そうそう、そうだったね。……ちゃんと笑えてないな、この私」

加蓮「私も。ていうかどう見ても不貞腐れてるし」

泰葉「この頃はまだツンツンモードだったものね」クスッ

加蓮「う、うるさい人形モード」

泰葉「あ、ふふふ……ひどい。今は笑えてるかな?」

加蓮「憎たらしいくらいね。今は最高にキュートだよ」ムニー

泰葉「んふゅ、あぃがとう……♪」
175F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)00:52:37 ID:t10()
加蓮「こんなだった私たちに挟まれてる李衣菜は……そりゃ緊張するよね」

泰葉「なんだかぎこちないね。でもちゃんと笑ってる……」

加蓮「あのときは李衣菜にずーっと気を回してもらってた気がする。なんとか空気を壊さないように、って」

泰葉「うん……。私もどうにかしようってひとりで考えてたけど……なにしろ初めてだったから。同年代の子と一緒だなんて」

加蓮「そっか、そうだよね……。泰葉、ずっと大人の後ろをついてたって言ってたもんね」
185F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)00:54:32 ID:t10()
泰葉「そう言う加蓮は苛ついてたでしょ? 『どうしてそこまでしてアタシに構うの。こんなヤツなんか放っておけばいいのに』って顔してた」

加蓮「……アンタのその特殊能力はなんなの。人の顔見て考え読むとかずるいよ」

泰葉「そうしないと生きていけない場所だったからね。……ううん、そうしなきゃいけない、って思い込んでた」

加蓮「うん。……ごめん、泰葉にも苛ついてた。泰葉だって事情あるのにさ、勝手に敵意剥き出しだったもん」

泰葉「ふふ、大丈夫。もうそんなことないって知ってるから」

加蓮「あはは、そりゃね。今は大大だーい好きだよ♪」

泰葉「そう。私は普通かな」

加蓮「どうしてそうやって私を邪険にするのかなぁ泰葉って?」
195F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)00:56:04 ID:t10()
泰葉「邪険にしてるかな?」

加蓮「……うぅ~。されてないけどぉ。あーダメ、からかおうとしてカウンター食らうって分かってるのに……!」

泰葉「ふふっ。加蓮も口は回る方だけど私には勝てっこないよ」

加蓮「このフラストレーションを李衣菜にぶつけてやる……!」

泰葉「それこそ李衣菜も私たちに挟まれて口達者になったけどね」

加蓮「完全に言葉で殴り合いしてるよね、私たち。ふふふ、楽しいからいいんだけど♪」

泰葉「うん、私も♪」
205F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)00:57:30 ID:t10()
加蓮「んっと、次は……あ、これレッスン中の写真?」パラ

泰葉「Pさんが撮ってくれた写真かな。すごい汗だく」

加蓮「汗でギリギリ透けてるんじゃないこれ」ジーッ

泰葉「そんな見つめても変わらないです。……私ばかり見ないで」ペシ

加蓮「いて。んふふ、必死だね私たち」

泰葉「このときもまだデビュー前だったよね……。やっぱり加蓮、口ではやる気無さそうだったけどそうじゃなかった」

加蓮「3人一緒だったのが効いたのかも。1人だけおいてけぼりとか惨め過ぎるもん……。ついてくだけで死にかけてたけど」
215F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)01:00:11 ID:t10()
泰葉「うん。本当にやる気を感じたから……だから私も李衣菜も『無理してない?』とか声をかけなかったんだよ」

加蓮「……ん。それ、結構嬉しかった。余裕なかったからさ。きっと手を伸ばされてたら『触んないで』って突っ放してたよ」

泰葉「なんだか加蓮の情熱を肌で感じて……それで私も頑張ろうって。Pさんと話して、アイドルとしてイチからやっていこうって改めて決めたの」

加蓮「じゃ、私って泰葉に良い影響与えてた感じ?」

泰葉「ふふ、そんな感じ。李衣菜もね、その頃からかな。『ロックなアイドルになりたいんだ』って話してくれたの。それもきっと加蓮の影響だよ」

加蓮「そ、か。……そっかぁ。打ち解けるのもう少しあとだと思ってたけど……そうなんだ。えへへ……♪」
225F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)01:02:18 ID:t10()
泰葉「加蓮の『アイドルになりたい、諦めたくない』って気持ち、ちゃんと伝わってたよ」

加蓮「……うん。色々言われたから。Pさんに」

泰葉「『ひとつの選択は小さくても、そのちっぽけな選択が必ず未来を変えていく』。……私も言われたから分かるよ」

加蓮「! ……ふふ。あぁもう……最高の口説き文句だと思ったのに。『やるかやらないか、君に決めてほしい。君の選択を信じるよ』って続くんでしょ?」

泰葉「口説かれ仲間だね、私たち」クスクス

加蓮「ほんと、口説かれちゃった。自分でやるって決めた以上、逃げらんないもんね」

泰葉「負けず嫌いには効くよね、本当に……♪」
235F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)01:04:24 ID:t10()
加蓮「もー、ムカつく。Pさんムカつく。絶対トップアイドルになってやるんだから」

泰葉「私だって。私たちを見出したことに意味を持たせたい。私たちを見つけて良かったって思ってもらわないとね」

加蓮「ふふ、当然。……あ、李衣菜はどうだったんだろ。なんて言われたのかな」

泰葉「そういえば李衣菜の口説き文句って聞いたことない……。ちょっと気になるね」

加蓮「Pさんの方に聞く?」

泰葉「んー……まぁ、野暮って言うんじゃないかしら」

加蓮「あは♪ だよねー」
245F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)01:06:41 ID:t10()
泰葉「さ、次の写真は――あ」ペラ…

加蓮「…………」

泰葉「…………」

加蓮「……次いかない?」

泰葉「……加蓮の初号泣だね。初ライブのあとの」

加蓮「次いかない?」

泰葉「あぁ……ふふ♪ 思い出しちゃった。小さな屋上のステージ……まだ私たちの曲もなくて、たった一曲だけアレンジ曲を歌ったんだよね」

加蓮「次いかない?」

泰葉「私も2人の緊張が感染っちゃって……もう頭も真っ白で。でも確かに声援は聴こえて……それだけは覚えてるよ」

加蓮「次いかない?」

泰葉「壊れちゃったのかな?」
255F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)01:08:21 ID:t10()
加蓮「やめて思い出さないで恥ずかしくて死ぬからお願いだからぁ」

泰葉「『ありがとう、一緒にいてくれて、一緒にステージに立ってくれて、一緒にこれからも頑張ろうね』」

加蓮「あああああああああああ」ゴロゴロゴロ

泰葉「びっくりしちゃった、急に抱き寄せられて。もらい泣きしちゃったもの」

加蓮「ほんとむり……しにたい……」

泰葉「うふふ、ふふっ♪ このときからだよね、仲良くなっていったの。懐かしいな……」
265F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)01:10:12 ID:t10()
加蓮「…………李衣菜だよね、打ち上げしようって言ったの」ムクリ

泰葉「うん、そう。加蓮が泣いたから李衣菜も『これはイケる!』って思ったんじゃないかな」

加蓮「イケるってなによぉ……!」

泰葉「『泰葉ちゃん、独り暮らしだったよね。3人くらいなら入れるかなぁ』……。そういえばまだちゃん付けだったね。あの頃」

加蓮「私なんか『元子役』『そこのヘッドホン』呼びだったけどね……」

泰葉「それが今じゃ『りーなぁ~~~』『やすはぁ~~~』『大好きだよぉ~~~』ってハートマーク付きそうな」

加蓮「ほんっとうにぶん殴るよアンタ!?」

泰葉「ふふふ、真っ赤♪」
275F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)01:11:54 ID:t10()
加蓮「もうやだ。アルバムおしまい。李衣菜まだ上がんないのあのおバカ」ムスーッ

泰葉「時間的にもうすぐじゃないかな、いつも通りなら。ふふ、あぁ楽しかった♪」

加蓮「はぁぁぁ……。…………。…………ね。あのさ」

泰葉「うん?」

加蓮「…………結構前だけど、お礼。言えてなかったから……今言っとくね。恥ずかしいついでに」

泰葉「お礼……? なにかあったかな……?」
285F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)01:13:27 ID:t10()
加蓮「ほら……小児科慰問の」

泰葉「ああ、あの。……え、お礼言われることしてないよ?」

加蓮「したよ。してくれた。私の夢……ううん、ワガママかな。聞いてくれて、一緒に来てくれたから……だからお礼。ありがとう」ペコ

泰葉「…………。ワガママなんかじゃないよ。加蓮がやりたい、って言ったのは確かだけど……でもね」


泰葉「加蓮の夢は、私たちの夢だよ。……私と、李衣菜と、加蓮の夢。私が叶えたいのは……3人で見る同じ夢だから」
295F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)01:15:11 ID:t10()
加蓮「っ……!」

泰葉「加蓮が『やりたい』って言ったなら、その瞬間に私も李衣菜も同じ『やりたい』になるの。当たり前じゃない」

加蓮「……だって。私の勝手なんだよ。昔の私が憧れたアイドルなんて」

泰葉「うん。だから叶えたいの。他ならない加蓮の夢だから……私も同じ夢を見るの。ね」

加蓮「でも……それは泰葉自身の夢じゃないでしょ」

泰葉「そうだね。加蓮の想いは加蓮だけものだから……私の夢とは少し違うけれど。だからって妥協するのはおかしいもの」

加蓮「妥協って……! 他のことで寄り道するなんてそれこそ妥協だよ……」
305F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)01:17:17 ID:t10()
泰葉「……うーん、加蓮がどうしてそんなに卑屈なのか分からないけど……。他ならない、って言ったでしょう? 他じゃないよ、加蓮も李衣菜も」

加蓮「他じゃ、ない……?」

泰葉「じゃあ、こう聞こうかな。加蓮は、もし私と李衣菜が夢を実現するために『こうしたい、あれをやりたい!』って言ったらどうする?」

加蓮「……あ…………。私も、一緒に叶えたい。李衣菜が本場のロックフェスに出たいって言ったら、絶対私も出たい。ロックとかよく分かんないけど、3人で考えて……私たちのロックを魅せたい……!」

泰葉「うん。そうだよね」

加蓮「泰葉がクソ真面目にファンのみんな一人ひとりと握手したいって言ったら……なんとかしてPさんを説得したい!」

泰葉「……なんだか私のことちょっと誤解してないかな」
315F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)01:19:41 ID:t10()
加蓮「ふふ……とにかく。泰葉が言ってることってこういうこと?」

泰葉「まぁ……大体は。寄り道なんかじゃない……最初から道なんてないよ。今まで歩いてきたところを振り返ったら、それが私たちの軌跡なんだから」

加蓮「あはっ! 超ロックだよ泰葉……それ、最高だよ。李衣菜よりずっとロック……!」ジィン…

泰葉「……って、李衣菜が言ってたから。加蓮の小児科慰問のお仕事を受けたときに。ふふふ♪」

加蓮「ってちょっ……り、李衣菜が? それ先に言ってよ、感動しちゃったじゃん!」

泰葉「泣いちゃってもいいよ?」

加蓮「それ私の新曲の歌詞だから!」



―――脱衣所


李衣菜「…………」フキフキ

李衣菜(へへ♪ いつか言おうと思ってたけど……まぁいっか、伝わったし)

李衣菜(目をあけて、一緒に見て。叶えようね、私たちのでっかい夢!)
325F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)01:21:40 ID:t10()
加蓮「あーもう、あーもー! 真顔イケメン発言製造機いないから話したのに……!」

泰葉「それ李衣菜のこと? 私も李衣菜の影響受けちゃったかな」

加蓮「ほんとにねっ! 童顔のくせして言うことはマジなんだからアンタたちは!」

泰葉「加蓮だってだんだん李衣菜のロック分かってきてるじゃない。あと私は童顔じゃありません」

加蓮「うっさいまんまる! カーブ! 脳みそメロンパン!」

泰葉「……脳内ハッピーセット。血液油ウーマン。妖怪ジャンクフード」


加蓮「…………」ピクピク

泰葉「…………」ワナワナ


ずもももも……



がちゃ


李衣菜「いや~~いいお湯だったよ~どっちが先に入る――えぇ……。なんで冷戦なの……? さっきまでのいい雰囲気はぁ……??」ビクビク


―――

――


335F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)01:23:04 ID:t10()


―――


李衣菜「――ほら、お鍋できたよ。いつまで喧嘩してんの」グツグツ


泰葉「…………」ムス

加蓮「…………」プイ

李衣菜「んもう……子供だなぁ。そんなんで明日からのレッスン大丈夫なの?」

加蓮「……はぁ。李衣菜に子供って言われるの悔しいからもうやめる」

泰葉「……ん。私も同感」

李衣菜「これは私が怒っていい場面だよね? こっちは人質ならぬ鍋質がいるんだけど」

「「ごめんなさい許してください李衣菜お姉ちゃん」」
345F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)01:24:32 ID:t10()
李衣菜「まったく。じゃ、いただきまーす」

泰葉「いただきます。……豆乳お鍋♪」

加蓮「いただきまーすはふほふへふ」モクモク

李衣菜「早っ!?」

加蓮「ん~~~~……おいひいぃ♪ さいこうりーな!」

李衣菜「えへへ、良かった。最近野菜高めだからちょっと量は少ないかもだけど、味の方は本気出したよ!」

泰葉「はくっ、ずず……ん、んん……んふぅ♪ はふ、ふぅ……りいな、りいな♪」クイクイ クイクイ

李衣菜「も、もう語彙力皆無だよ泰葉。分かったから、引っ張んなくても分かったから」
355F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)01:25:56 ID:t10()
加蓮「はぁ、あぁ……。これが私の最後のご飯ってなってもいいやぁ……♪」

泰葉「安らかに逝けそう……♪」

李衣菜「なに言ってんの。年末ライブ終わったらフライドポテトとメロンパンたらふく食べるって今我慢してるんでしょ。簡単に死なないでよ」

加蓮「あっそうだ生きなきゃ」

泰葉「こんなことで死ぬわけには」

李衣菜「この会心の出来でもポテメロに勝てないんだ私……」ガックリ

加蓮「大丈夫、もう李衣菜が勝ってるよ」bグッ

泰葉「自信持って」bグッ

李衣菜「そりゃどーも……」
365F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)01:27:10 ID:t10()
泰葉「ふふっ。これで明日から頑張れるよ。ありがとう李衣菜」

加蓮「これで寿命10年延びたよ。年末までに10年命削っても大丈夫になったよ李衣菜!」

李衣菜「命削ることないんじゃないかな!?」

加蓮「あははっ♪ そのくらいの覚悟ってこーと。本気モードだよ、明日から。アンタたちに負けないくらい頑張るんだから」

泰葉「……うん。最高の味方で、最大のライバルだからね……李衣菜と加蓮は。油断してたら私がすぐ突き放しちゃうよ」

李衣菜「ふたりとも……。……へへ! 当然っ、そうこなくちゃ! 私だって負けないからね!」
375F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)01:28:35 ID:t10()
加蓮「このお鍋に誓うよ」

李衣菜「え、鍋に?」

加蓮「出逢ってからこれまで、ずっとずっと一緒に頑張ってきた。だからこれからもそうだって信じ続ける」

李衣菜「……!」

泰葉「それぞれの夢……ひとつに束ねて、一緒に叶える。どんな夢も理想も、欲張って全部現実に変えるの」

李衣菜「……なんか、恥ずかしいなぁ。ふたりとも」
385F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)01:29:55 ID:t10()
加蓮「そう言う李衣菜は?」

泰葉「どうするの?」

加蓮「……『ひとつの選択は小さくても、そのちっぽけな選択が必ず未来を変えていく』……」

李衣菜「! あ……!」

泰葉「ふふ。……『やるかやらないか、君に決めてほしい』……」


「「『君の選択を信じるよ』」」


李衣菜「……Pさんの……。へへ」

李衣菜「……そんなの、決まってるよ。やらなきゃロックじゃないもんね!」
395F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)01:31:54 ID:t10()
加蓮「ひゅー♪ さすが李衣菜、かっこいい♪」

泰葉「そうじゃないとね。李衣菜もやっぱり同じこと言われたんだ……♪」

李衣菜「そうそう! もう本気ですごく真っ直ぐ見られて言われちゃったからさ、私もドキドキしちゃって――♪」


わいわい

  きゃっきゃ――



李衣菜(私たちは自分で選んだ。Pさん……ううん、明日からはちゃんと『プロデューサー』だ。甘えてばっかりじゃいられない)

李衣菜(プロデューサーに、ファンのみんなに、もっともっと大勢の人に……伝えたい。証明したい。私たちの歩いてきた道……軌跡が、なによりも綺麗だってことを)

李衣菜(エバーリースの存在を……みんなの心に打ち付けるんだ。永遠に忘れられない、常緑の冠を!)
405F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)01:33:01 ID:t10()
李衣菜「エバーリース、ふぁいとーっ!」

泰葉「おーっ!」

加蓮「おーっ! ……かわりっ」スッ

李衣菜「えぇ~締まんないなぁ……」ガクー

泰葉「あ、私もおかわり……えへへ」

李衣菜「はいはいしょうがないんだから……」

「「ありがと、お母さん♪」」

李衣菜「だ、誰がお母さんかっ?!」



李衣菜(きっと大丈夫! 私たちは、私たちの選択を信じてるからね♪)



つづく
415F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)01:34:37 ID:t10()
というお話だったのさ
年末ギリギリに投下しておいて何ですが、今回はクリスマス前のお話ということにしてください……
次は節目の100作目になります
425F5enKB7wjS6 :2017/12/30(土)01:35:26 ID:t10()
モバP「だりやすかれんと体育の日」
http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1509460667/
ひとつ前のお話
43名無しさん@おーぷん :2017/12/31(日)12:26:59 ID:STr
だりやすかれんだ、やったー!


44名無しさん@おーぷん :2018/02/03(土)12:29:55 ID:PH0
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モバP「だりやすかれんの軌跡」
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