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【モバマス】忍「おんぼろパンプキン」

1名無しさん@おーぷん:2017/08/12(土)14:07:47 ID:lf6()
独自設定があります。
地の文中心。
34名無しさん@おーぷん :2017/08/12(土)14:24:07 ID:lf6()



 料金所を通過し、下道へ。予定よりもずいぶん早く、まだ時間は七時を回ったところだった。ここまで来れば、もうあとは十分もあれば目的地である東京駅に着く。
 朝早いだけあって、まだ車道にも歩道にも影は少ない。デカい図体は邪魔になりがちだから、交通量が多くなる前にさっさと済ませよう。

「もうじきに着くよ。降りる準備しときな」

「はい。……あの、お姉さん」

「んー?」

 ひさかたぶりの信号にかかり、一息ついた。彼女の方を見ると、いかにも神妙そうな面持ち。こちらをじっと見つめていた。

「……なに?」

「本当に、ありがとうございました。ここまで送っていただいて。初対面なのに、こんなに良くしてもらって、本当になんて言えばいいのか……」

 背筋がむず痒くなりそうだ。やめてもらいたい。
 ふっと目を逸らした。
35名無しさん@おーぷん :2017/08/12(土)14:24:38 ID:lf6()

「ありがとうの一言でいーよ。それで充分」

「いや、でも。送ってもらっただけじゃなくて、ご両親のことを話してもらったりとか、しましたし」

「あー……歳食うと小言っぽくなっていけないよね」

「そんなことないです」

 信号の色が赤から青へ。クラッチとアクセルで加速する。顔をまっすぐは見れないけれど、声の調子でどんな表情で喋ってるのかはわかるようだった。

「……アタシ、全然なにも考えてませんでした。お父さんやお母さんが、どうして反対するのかとか。
ただ、応援してくれないことに腹立てて……酷いことも、言っちゃった。こんなんじゃ、ダメですよね」

「……若いうちなんてそんなもんだって。今反省できてんなら上等だよ。歳食ってからも親に噛み付くアホだって多いんだから。私とかね」

「ふふっ。絶対嘘じゃないですか」

「ところがどっこい、ホントなんだよねぇ。やれ結婚しろだの、孫の顔はまだかだの。口喧嘩はしょっちゅうだよ」

 だから、あまり実家へは帰りたくないんだ。

 だけど、そんな面倒なことを言ってくる親だけど、それは私のことを想ってくれているからこそだというのはわかってる。だから、嫌でも帰るんだ。正月だってちゃんと帰省するさ、わざわざ親父に言われなくってもね。

「いくつになってもね。結構親は鬱陶しいよ。覚悟しとくんだね」

「はい。しておきます」

「うん。素直でいいね」
36名無しさん@おーぷん :2017/08/12(土)14:25:20 ID:lf6()

 ビルの壁面を飾る、巨大な広告が視界に入った。化粧品のプロモーションらしい。使ったことも使おうと思ったこともない、バカ高いブランドのものだ。
 アレのイメージガールとして一緒に写っているのも、確かアイドルなんだったか。ピンク色の髪を流した大人びた少女がポーズを取っている。

 忍は、大都会の街並みに見入っていた。慣れないビル群が物珍しいのだろう。

 隣の素朴なこの子が、いつかあんなふうにド派手に街を飾ることがあるのだろうか。だとしたら、それはとても面白いことだ。
 そうなったなら、私は友達家族に全力で自慢してやろう。
37名無しさん@おーぷん :2017/08/12(土)14:25:46 ID:lf6()



「……さて。着いたよ」

 東京駅。日本の中心。早朝だというのに、ここはもう人で溢れそうだ。
 邪魔にならなそうな路肩に着け、ギアをパーキングに入れてサイドブレーキを上げた。

「あの、よかったらどこかでお礼を……朝食ぐらいならご馳走できますから」

「いらんいらん」

 子どもに飯を奢ってもらうなんて、そんなこと受け入れられるか。

「金は大事にしな。んな変なことに使わなくていいから。何日こっちにいるかもわかんないんだろ」

 でも、とゴネる彼女は本当に律儀で、ちょっと強情だった。

「どぉーしてもお礼がしたいってんならさ」

 財布から名刺を抜き取り、彼女に手渡した。

「せいぜい頑張って有名なアイドルになってよ。んで、テレビでそこの宣伝して?」

 いつになるかはわからない。もしかしたら、いつなっても、なんて可能性もあるのかもしれない。

 誰にも応援してもらえないと、この子は言った。
 だから、私ぐらいは応援していよう。優しくてひたむきで、少しドジで不器用な、この魅力的な少女を。なんの役にも立てないけれどね。

「あんな感じでデカデカと取り上げてくれんの、待ってるからさ。初めてプレゼント贈ったファンになるんだし、ちょっとの優遇ぐらい、いいだろ?」

 さっき見た化粧品の広告を指差して、卑しく口角を上げた。モチロン冗談だ。それを分かってか否か、彼女は頑張ります、と苦笑しながらも強く言った。
38名無しさん@おーぷん :2017/08/12(土)14:26:39 ID:lf6()

e.

 何度も振り返っては頭を下げる彼女を、手を振りながら見送る。
 うまくいってほしいものだ。心から思った。たった数時間、行きずりの道を共にしただけなのに。


「……あっ」

 マズイ、忘れていた。カーステレオの中には、彼女のCDが入ったままになっている。
 窓の外を見るが、すでにその姿はなかった。電話番号を聞いたりもしていないから、連絡を取ることもこちらからは叶わない。

 ディスクを取り出す。白地のラベルには『オーデ用』の文字。

……少しだけ、戻ってくるか待っていようか。それでダメなら仕方がない。

 再びディスクを挿入した。再生ボタンを押すと、楽しげに歌うアイドルの声。聞いた歌詞が少し刺さる。

 いつも夢見ていた、格好いい大人に。私はなれているだろうか。彼女はなれるだろうか。

 CDが発売されたなら、一枚ぐらいは買ってあげよう。ドライブのお供に、悪くはない。


 そういえば、これから向かう予定の現場の責任者は、アイドルに興味のあるオッサンだったはずだ。少し話を聞いてみようか。





おしまい。
3977.oQo7m9oqt :2017/08/12(土)14:28:39 ID:lf6()
このあとの忍の物語は皆さんご存知なので、これで終わりです。
ご覧いただいた方、ありがとうございました。
40名無しさん@おーぷん :2017/08/12(土)23:08:23 ID:2sR
なんというか悪くはないんだけど…
忍と語り手のどちらにも感情移入ができない
感情表現がすべってる感じ
41名無しさん@おーぷん :2017/08/14(月)14:08:08 ID:B9O
マイナーな漫画だけど、はんなりギロリの頼子さんみたいな運転手だと思った
いいじゃん(いいじゃん)
42名無しさん@おーぷん :2017/08/20(日)18:19:44 ID:5An()
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テスト
43名無しさん@おーぷん :2017/08/21(月)18:31:50 ID:LGL()
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テスト

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